情報セキュリティの脅威はすぐそこに

国家公務員ですら文書管理ができない?

昨今、中央省庁における文書管理に端を発する政治スキャンダルが世間を騒がせています。

ひとつは加計学園獣医学部の設置を巡る「総理のご意向」の問題、もう一つは陸上自衛隊南スーダンPKO部隊の日報を巡る問題です。政治的な意義については本旨ではないためここでは触れませんが、経緯だけ簡単におさらいをします。

加計学園獣医学部の問題は、従来の規制から獣医学部の新設が認められない中で「国家戦略特区」として愛媛県今治市に加計学園の設置が認められました。この背景に「総理のご意向」があったとされる文書が文部科学省内で発見・リークされ、政治スキャンダルとして追求が行われています。

一方、陸上自衛隊の日報問題は、南スーダンにPKOとして派遣された部隊の日報に現地での「戦闘行為の発生」を示す一文があり、これが情報公開請求をされた際にすでに破棄したとされたり、別の部門で発見されたり、結局は陸上自衛隊内にあったり、さらにはその事実を隠蔽しようとしたのではないかと指摘されている問題です。

どちらも情報セキュリティ的な観点では、文書管理が適当すぎるのではないかと思わざるを得ません。

 

▼加計学園問題
発端とされている文書の位置付けが公式な議事録なのかメモなのかが不明瞭ということも問題ですし(だからこそ官房長官の怪文書発言があったわけです)、前者であれば出席者の同意が得られた内容なのか、後者であればそもそも正確性や真偽が担保されないという点が問題を無駄に複雑にしています。

また省内のファイルサーバにあった・なかったで揉めた時期もありましたが、通常は監査ログなどから「誰が置いたか」や「誰が見たか」は簡単に明らかになるはずのものです。さらに言えばこれがマスコミや野党などの省外に漏れて良いタイプのものだったのかという点は、本来の問題とは別にして一定の議論も発生するでしょう。

 

▼陸上自衛隊日報問題
部隊の活動の成果物として作成された公文書で情報公開請求の対象なのかどうかという議論はありますが、派遣開始以来毎日作成されていたものとの話もあり、そもそもの文書管理上「どうあるべきだったのか」という見方もできるかもしれません。

また陸上自衛隊内で破棄したとされたことや、その後に統合幕僚監部が保存していたり、さらにやはり陸上自衛隊内にあったとされたことも、管理上のプロセスとして正しかったのかどうかについては大きな疑問が残ります。

それぞれこの7月下旬に国会の閉会中審査や防衛省の特別防衛監察で明らかになることに期待したいものです。

 

別の視点で考えてみれば、本来はこのような言った・言わないという認識の齟齬を起こさないために「文書化の必要性」があるわけですし、それを確実にするための文書管理規程というものがそれぞれの組織で存在し、運用されることが正しい姿です。

今回の問題もルールに基づいた運用がされていれば、もう少しすっきりする展開もあったのかもしれません。