もっと身近にセキュリティ

トップはどこまで精通しているべきか

IT担当大臣に就任した竹本直一氏の公式サイトが、執筆時点でもアクセスすることができなくなっています。注目が集まってアクセスが集中した……、というわけではなくDNSの名前解決ができていないようです。
WHOIS情報を確認すると、ドメインステータスが「clientHold」となっており、何らかの手続き上の不備があり、ドメインが凍結されているという状況ではないかと思われます。
ドメイン管理ではやりがちですが、レジストラから来ている確認関連メールを見落としてる等のパターンだろうとは推察できますが、お粗末以外の何者でもありません。
さらには竹本氏の公式YouTubeで不適切な動画に「いいね!」をしていることも明らかになっており、システム運用どころか一般ユーザレベルの使いこなし方としてもどうなのかという声が上がっています。


本件の周辺を想像すると興味深い示唆をいろいろと含んでいます。
そもそも国会議員は議員本人が様々な活動を直接行っているわけではなく、議員本人をトップとして公設秘書や私設秘書、あるいは事務員や応援スタッフなどが下で働く「小規模事業所」という側面を持っています。
もちろん議会での活動は議員本人が行いますが、それを支える政策立案や事務作業には意外と多くの人が関わっています。昨今の選挙活動において当たり前とも言えるWebページやSNSを使った報告やアピールも、本人が直接サーバやドメインを契約してHTMLを書いたりCMSをさわることはなく、秘書や事務員や場合によってはアウトソースされた業者などが行っています。当然そこには普通の企業と同じような、業務フローやプロセスが存在するはずです。
前述のドメイン凍結もこういった関連する人たちすべてが、何かの手続きを忘れるか見過ごすかしたために発生した状況と考えられます。システム運用に関わってる人であれば通常はなかなか見過ごしませんし、そうでなくてもWebサイトの稼働状況などをきちんと定期的に監視しているものですが、詳しい人がいない中小企業の場合に必ずしも十分かつ適切に行えないというのも想像に難くないところです。発覚から少なくとも2週間が経過しても解消されないところを見ると、本当にわかってる人がいないのではないかと心配してしまいます。
一方で組織のトップたる議員本人が、こういった事務作業の枝葉の部分まで精通している必要があるかというとそれはそれで少し違うのではないかとも思います。
もちろん「IT担当大臣」を拝命するくらいですのでドメインの仕組みくらいきちんと理解して欲しいという指摘は正しいですが、それよりも本来の仕事に注力した方がトータルでは有益だという見方が一点、他方部下の仕事やワークフローの管理ができてないのではないかという見方ができてしまうことの方が問題としては大きいでしょう。
さらには議員・大臣として状況を理解・把握して説明できていないという問題よりも、それ以前に状況を把握して説明する部下がいないのではないかということが大問題です。
もちろん専門分野や担当分野に関することについては、トップが理解して自分の言葉で説明する力が必要ではありますが、その前提にあるのは適切に管理されて情報がエスカレーションされる組織構造にあります。
「IT担当大臣の公式サイトのドメインが凍結している」と言ってしまうとそれはそれで目も当てられない恥ずかしい事態ではありますが、それ以前に「少なくない国家公務員の上に立つ大臣が、自分の周りの所帯の管理もできていない」ということの方が一有権者としては不安を感じてしまいます。

とはいいつつも竹本直一氏が「はんこ議連」の会長を務めており、ITとの両立を考えているという点も伝えられており、ITとは対極にある人選なのではないかという気がしてなりませんが、ここは是非楽しくクールでセクシーな政策運営をして欲しいと願うばかりです。