もっと身近にセキュリティ

「顔パス」ができる社会がやってきた

今まで「顔パス」ができるといえば、馴染みの飲食店などで「大将、いつもの」というオーダーが通るシチュエーションくらいしかないでしょうか。

NECが生体認証・映像分析事業を強化して、2021年度までにグローバルで1000億円の事業規模を目指すと発表しました。
特にNECの顔認証技術は技術的にも売上規模的にも世界トップクラスと言われており、自社の得意分野であり成長分野でもある事業をさらに伸ばしてくというのは当然といえば当然の経営判断かもしれません。



昨今、様々なセキュリティ上の脅威が叫ばれる中で、生体認証はほぼ確実に「その本人であること」が確認できて、紛失・盗難・漏えいや偽造のリスクもほぼない、究極の認証方法と言えます。
一方で「本人が本人である」と認証されない正確性だったり、認証にやや時間がかかってしまったりという問題はどうしてもつきまといます。
個人的にも経験がありますが、静脈認証が導入されているデータセンタに入館する際に50%くらいの確率で「もう一度手をかざしてください」とエラーが出たり、「3秒間動かさないでください」と言われイライラさせられることがあります。
掌をかざす微妙な角度の問題なのか、血圧や血管の太さの問題なのかはわかりませんが、ある種「こんなもんだろ」という割り切った考え方もできてしまいます。
映像解析技術が進化してきたことを受けて、ここ数年の生体認証のトレンドは顔認証に急激に移りつつあります。iPhoneのFaceIDやWindows Helloでは顔認証によって端末のロックを解除することができるようになっています。
冒頭に挙げたNECの技術は2020年の東京オリンピックの大会関係者30万人の管理に利用することが発表されており、IDカードと顔認証の「2要素認証」により会場への入場を行うようになると発表されています。
また成田空港での採用も決定しており、搭乗手続きが「顔パス」で通過できるようになると言われています。

NECの売り文句的ではありますが、こういった場面での正確性やスムーズさには一日の長があるということなのでしょう。

この分野におけるもう一方の先進国である中国では、群衆監視の技術と組み合わせ、例えば指名手配犯が街中の監視カメラに映っただけでアラートを上げる仕組みがあったり、横断歩道を信号無視して渡っただけでその個人名までを瞬時に特定したりということが行われているという噂があります。
ここまで行くとちょっと怖いのを通り越してディストピア感すらありますが、顔そのものが認証のキーになるということはそういうことも可能だということに他なりません。

とはいえ高度なセキュリティが手軽でストレスフリーに利用できることは利用者にとってのメリットの方が大きいと思います。
このような「顔パス」ができる施設や設備に巡り会った時は素直に「お、すごい」と驚いておきたいと思います。