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時代の節目への備え

2019年に予定されている最大の出来事は4月30日の天皇陛下の退位と、翌5月1日の皇太子殿下の新天皇即位ではないでしょうか。
これに伴い「平成」という元号が終わり、新たな元号に改元されるわけですが、これを巡ったシステム対応について一部で議論が巻き起こっています。

言うまでもなく日付や時刻に関する処理はコンピュータの根幹をなす部分ですが、日本固有の問題としてこの元号に対応しなければならないという問題が生じます。
「元号に対応する」と言ってもその範囲は幅広く、目立つところでは日付が記載されているあらゆる文書においてどのように記載・表記・出力されるかという問題が生じますし、もし内部的な処理が和暦で行われているシステムがある場合、そもそもの日付の処理を修正しなければならないという事態が生じえます。
ただし多くのシステムでは、内部的な処理としては西暦UNIX時刻で行われていることがほとんどであると思われるため、実際の影響としては表記や出力に対する影響に限られるのではないかというのが筆者の予想です。

すでにMicrosoftなどもパッチを準備していると言われていますが(事前の準備と言われているパッチで失敗もしていますが……)、Excelなどで「2019/04/30」を入力した場合は「平成31年4月30日」と出力し、「2019/05/01」と入力した場合は「○○元年5月1日」と出力するというのがその最たる例です。
とはいえ、例えば紙として出力された場合や画面上であってもレイアウトに問題がないかやそもそも正しく出力されるかなど、何だかんだで確認が必要な事項は多いため、そこまで楽観できないのもまた事実かもしれません。
また、「元号での入力」が可能なシステムの場合は、対応の工数がさらに増えそうにも見えてきます。

幸いにして法令や行政文書や契約書などについては昭和から平成になった時と同じように、たとえ「平成32年」という記述があっても適宜読み替えがされるという前例があるため、実務面での混乱は少ないのかもしれません。
また少なくとも漢字2文字であることは明らかになっているため、新元号が発表されないと何も準備できないというわけではないのかもしれません。
すでに今回、改元1ヶ月前となる4月1日に新元号が発表されると予告されており、これが「十分な期間なのか」どうかというのが議論を呼んでいます。
もっと事前に発表しろという声もある一方、特に保守系に配慮した新旧天皇の二重権威に対する配慮との折衷案で1ヶ月前になったという背景があるようで、評価し難い点でもあります。
本来「天皇の崩御に伴って翌日に改元される」ことが前提であるため、1ヶ月前に発表されるだけ”マシ”とも言えるかもしれません。

現在とは比較になりませんが、明治から大正、大正から昭和の際は即日改元がされており、昭和から平成の際は国民への影響に配慮して翌日改元になったという歴史があり、今回のように改元が2年近く前に予告されるというのは異例であるというのは覚えておいてもよいのではないかと思います。
また今回の改元に伴って、「昭和100年問題」「2038年問題」の存在が改めて注目されています。これらは表記上の問題ではなく、コンピュータの内部処理の問題のため、実は「新元号対応」よりも目に見えない割にインパクトが大きいのではないかと予想されています。
特に「昭和100年問題」は2025年にリミットが迫っており、早急な対応が必要とは言われていますが、1980年代からオーバーホールもされずに使われ続けており、平成改元時に2000年問題への対応などの理由で改修が先送りされたシステムでしか生じ得ないのではないかとも言われており、どの程度の影響があるのかは未知数です。

まずは目先の4月1日新元号発表から5月1日の改元まで、システム関連でざわつく日々が続くのかもしれません。